2019年度 卒業生大会の報告(3)

「今年も高橋学園長からお話をしていただきました」

よりよい人間教育を目指して

学園長 高橋和也

自由学園は2021年に創立100周年を迎えます。「キリスト教精神を根底に据えて、常に一人ひとりを大切にし、より良い社会を作る人が育ち続ける学園、子どもたちも教職員も自ら学び続ける人になる学園」を目指して改革を進めています。
先ほど47回生の方が、女子部のお食事時間に「あなたの居場所はありますか?」という問いかけを生徒たちにされました。自由学園は、まず子どもたち「一人ひとり」がその人らしく成長し、その人にしか歩めない人生を自信をもって歩んでいける、その土台となる自尊感情がしっかり育つ学校でありたいと思っています。
急激な変化が進む社会ですが、私は「思想しつつ生活しつつ祈りつつ」「自労自治」という理念のもと、主体性と協働性、心と頭と体をバランスよく育てる自由学園の教育の価値は、ますます高まるものと確信しています。
しかし今後、新しい時代を生きる子どもたちが成長するにふさわしい学校としていくためには、時代の変化に向き合い、これまで伝統的に続けてきた実践の意義を再確認し、新しい取り組みを進めることが必要です。
今社会では多様化が進み、性別や年齢、国の違いなど、様々な背景を持った人が交じり合い、共に生き、協働して物事に取り組むことが求められています。学校もこのような時代の課題に向き合い、女子男子の枠を超え、それぞれの良さを引き出して、「真の人間教育」という同じ目標を目指す「共生共学」の学校として、生涯を通じたよりよい学びの土台作りをさらに進めていきたいと願っています。
また今回の改革は、一人ひとりの個性や興味・関心を尊重し、それぞれが主体的に学ぶ力を身につけることができる学校づくりを目指すものです。
昨年よりカンボジアやデンマークへの研修旅行はすでに男女合同で行っていますが、2019年4月からは4人の副学園長を置き、ワーキンググループを立ち上げ、共修カリキュラムの検討に入っています。今年度は学業報告会でも男女合同の取り組みが始まりました。次年度もこのような共修の取り組みを進めていきます。女子部ならではの学び、男子部ならではの学びのそれぞれの良さを生かしつつ、よりよい人間教育を実現する学校を目指していきます。
自由学園は、子どもたちのために、その時代にはなかった新しい教育を目指して創立された学校です。私たちは創立者が残された形が素晴らしいものであるために、形を守ることに意識が向かってしまいがちですが、今ここで学ぶ一人ひとりを大切にし、これからの世界で本当に力を発揮できる生徒たちが育つ学校でありたいと思います。皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
最後に、大会当日ご紹介したいと思い用意していたNHK制作の映像番組のご紹介をします。「Through the Kitchen Window: Jiyu Gakuen – SalmonChirashi Zushi」で検索してください。私たちが大切にしている教育を素晴らしい内容にまとめてくださっています。ぜひご覧ください。

卒業生大会当日の写真は『卒業生大会の報告(1)』に掲載されています。

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