2019年9月度那須農場復興支援労働報告

暑さもかなり和らいだ9月14日(土)~15日(日)、2019年度第6回目となる那須農場復興支援労働を行いました。今回の参加者は同学会18名、卒業生会7名、在校生父母3名、卒業生家族4名の計32名です。

初めて参加した人から久々に参加した人まで、前回同様に楽しく力を合わせて活動しました。初参加の方2名の感想を本稿後半に掲載していますので、併せてご覧ください。

9月度労働の作業内容は下記の通りで、デントコーン収穫のための準備、翌週の那須農場キャンプに向けた作業を主に行いました。

①牛舎の掃除、牛移動、花壇の草取り
②トラック荷台へアオリ付け
③草刈り
④ファイヤーサークル仕上げ
⑤稲架設置
⑥食事づくり

①牛舎の掃除、餌やり
通常の餌やり・清掃のほか、放牧のため牛を移動させた後、竹を切ってすす払いの練習。
翌日すす払いを実施、日頃手の届かない高い所の埃や蜘蛛の巣を除去しました。
 

ウォーターカップ清掃は全体の約8割を完了。清掃前と後では見違えるほどです。
 

また、このメンバーで花壇の草取りも行いました。

②トラック荷台へアオリ付け
牛の主要な餌の一つであるデントコーン収穫に備え、トラックの荷台にアオリと呼ばれる板を取り付けました。
 

③草刈り
翌週に開催予定の那須農場キャンプでイベント会場や駐車場となるエリア、テントサイトとなる広場、宿舎周り、羽仁邸周辺の草刈りを実施。
 

池の周りの朽木は、ロープも使ってチェーンソーで切り倒しました。
 

④ファイヤーサークル整備
キャンプの準備も大詰め。キャンプファイヤーを行う周囲を8月度労働で50cmほど掘り下げ、砂利を敷き詰めましたが、今回もう少し大きな石を重機で配置。
 

周りに丸太のベンチを置いて完成です!
 

翌週の那須農場キャンプでは、夕食後キャンプファイヤーを囲んで語らいのひとときを過ごすことができました。こうして炎を囲みながら交流できるのは、素敵な空間だと思います。

⑤稲架設置
刈った稲はここ数年、池周りの稲架や建設中の子牛牛舎へ干していましたが、今年は食堂裏の梅林跡地に稲架を設置しました。
昨年までの竹材がいくつか傷んできたため、新たに竹林から20本ほど伐り出し、竿や脚として使用しました。
 

キャンプでは直前まで天候が危ぶまれましたが、無事稲刈りと稲架がけまで完了。
天日干しによって米の水分量が頃合いになったら、2週間後の10月度労働で脱穀できるでしょう。
 

⑥食事づくり
今回も食事メンバー7名を中心にお手伝いの方も加わって、3食とも充実したメニューをいただくことができました。本当にありがとうございます。
 

夕食はズッキーニの肉詰め、腰果鶏丁(鶏肉のカシューナッツ炒め)、きのこの炒め煮、なすとトマトのイタリア~ン、みょうがもりもり旨サラダ、こづゆ、ご飯です。デザートにはグレープフルーツのムース、搾った果汁をムースにしてスポンジ生地に乗せています。
 

 

今月のお誕生日はこの方です。おめでとうございます!

 

朝食は焼き魚(鮭、鯖)、冬瓜の煮物、キュウリの漬物、ご飯、みそ汁。
昼食はビーフストロガノフとマカロニサラダで、労働の疲れを癒やしてくれるような美味しさでした。
 

昼食のデザートは、ベリーとヨーグルトのシャーベット、紅茶のアイスをクッキーで挟んだダクワーズ。
那須に来なければ自分の人生で出会わなかったかもしれないスイーツの数々、まさに感動ものです。

 

今回は、初めて参加された女子部66回生の荒川さん、在校生保護者の廣瀬さんから感想をいただきました。


那須農場支援労働に参加して

女子部66回生 荒川真理子

那須農場は、普通科1年の遠足以来の訪問で、約40年ぶり。搾りたての牛乳を飲んだくらいしか覚えていないので、郷愁を感じることも無く、初訪問の気分でした。

初仕事は「牛追い」。放牧地から牛舎に寄り道せずに戻れるよう、通らぬ道を塞ぎ誘導しました。柵もない至近距離で牛と接しましたが、とても穏やかでした。牛の扱いを知らない私が近寄っても興奮して暴れることもなく、普段から職員の方々が愛情を持って牛へ接しているのがよく分かりました。

とは言え、そこは気ままな牛さん。なかなかいう事は聞いてくれず、また2頭の予定が脱走した牛も含め計3頭となり、思った以上に時間がかかりました。
放牧から戻って来た牛達が、自ら所定の場所に戻って行ったのには驚きました。

その後は、牛舎周りのクモの巣払いと花壇周辺の草取りをし、初日の労働は終了しました。
2日目は、牛舎の中に入ってのクモの巣払いと牛の水飲みボウルの洗浄をし、今回の労働は終了しました。

今回、初めて参加させていただきましたが、改めて学園に関わる人々の繋がりの濃さも感じました。
性別も年齢もばらばらな集まりにもかかわらず、粛々と物事が進められているのは、やはり自由学園の特色のひとつだと思います。

また農場職員の方々が寛大な心で迎えてくださるお陰で、お手伝いが出来ているのだとも思いました。震災以来、卒業生や父母が支援を始めた頃は、する側される側の双方とても大変だったことと思います。

微力ながら、その上に今回の労働を重ねることができたのは、嬉しく思います。
機会があれば是非、また参加させていただきたいと思っています。ありがとうございました。


那須農場支援労働に参加して

在校生(D78)保護者 廣瀬 聖

私は、3・11の震災後の那須農場の事にほとんど関心がありませんでした。
震災の時は、大阪に住んでいて関西の同級生が学校を辞めて地元に戻ってきました。
その時は、戻る場所のある人とない人がいるんだ。と感じました。

数年たち、委員をした年に那須農場の事を真剣に考える学年がいて、その学年の方の話を聞いた時は、匂いも色もない何か恐ろしいものと戦う人たちがいるんだと感じました。

今回は、初めての参加で那須への小旅行気分で出かけました。想像よりはるかに大きな農場で牛も沢山いました。この日は、来週この農場にくる家族が過ごしやすい様にとの準備が主な仕事でした。

仕事後の雑談や、食事中にお聞きするこの農場に関わる話から、震災から今まで農場の方や卒業生の方たちが「自由学園那須農場」を守りたい、との気持ちを深く感じました。私は、2019年9月の農場を見て感じて真実を知り、そして伝える事の大切さを感じた2日間でした。


那須農場復興支援室より

この報告書を公開する直前、台風19号が関東・東北地方を中心に甚大な被害をもたらしました。被害に遭われた方にお見舞い申し上げるとともに、一日も早く立ち直れますよう祈念いたします。
台風が過ぎてから蛇尾川を渡る道は通れなくなったものの、那須農場に大きな被害は出ていないようです。

さて、那須農場復興支援室室長となって半年が過ぎました。
自分が生徒だった頃、東天寮の室長といえば知力・体力とも自分を上回る高等科3年生でしたが、いま支援労働で自分のことを「室長」と呼んで下さるのは、ほとんど年上の方だったりします。
自分より人生経験豊富な方から室長と呼ばれるのは少々妙な気もしますが「○○はどうなっている?」「○○をやっておいたから」などと様々な形で助力・協力いただいており、本当に有り難く思います。

那須の支援労働では、食後の洗い物も何人もの先輩が率先して担当して下さいます。学園の生徒だった頃とはまた違った先輩の振る舞い、姿勢に触れ、こんな一面があったんだと気付かされることも度々あります。

この充実した体験を一人でも多くの方と共有したく、初めての方、20~30代の方でも遠慮なく参加・お問合せください。
次回の支援労働は11/16~17、12/21~22で行います。皆さんの参加申込みを心よりお待ちしています。

室長 森 春潮(D49)

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