2017那須農場キャンプの報告

自由学園に興味がある方に学園の素晴らしさをより知ってもらうために、同学会が毎年主催している「自由学園那須農場キャンプ」が、今年も9月23日~24日に栃木県の自由学園那須農場にて行われました。
那須農場という場所をお借りして行うイベントですが、農場では日々の業務が行われているため、出来るだけその作業の妨げにならないよう、同学会員の手によって今年の5月に入ってから準備が進められました。

イベント実行室として、今回最初に取り組んだことは、誰が見ても行ってみたくなる、楽しいキャンプがイメージできるチラシを作ることでした。
その後、様々な新しいイベントの構想を練って実現可能な方法を探りました。

どんなに準備をしても叶わないこともあります。それは天気です。1週間前の予報では、雨。
もの凄く激しい雨なら中止にしますが、普通の雨なら決行します。しかし楽しさは半減してしまいます。

できることは、天気予報を何回も見て祈ることだけでした。
しかし、直前にスーパーで貰ったレシートの金額を見て、晴れるのを確信しました。金額が ¥807(晴れな!)だったのですから!

キャンプ当日、午前中は少し降った雨も回復しつつある天候の中、ついにキャンプ参加者のみなさんが到着し始め、スタートしました。
今までやってきた準備にいろいろ不安もあるので、ドキドキする気持ちと絶対成功させようと言う気持ちが入り交じった感覚でした。

受付が終わり荷物を置いて落ち着いた頃、広場に集まってオリエンテーション。いろいろな注意事項や説明を行いました。
農場長からの挨拶をすっかり忘れてしまうという失態のおまけつき。

今回は参加者が昨年よりも多かったのですが、その中で駐車場の台数を確保する事がとても大変でした。普段農場にそれだけの台数の車が来る事はあまりないからです。
その中で、那須農場の方に大変協力をして頂き、重機を移動して草を刈りスペースを確保して頂き、本当に助かりました。

車に乗っていると気がつかなかったかと思いますが当日、車が入ってくる道には石灰が巻かれている場所がありました。牛が病気にならないよう車のタイヤを消毒するためです。
そうしたことを見てここが観光のための場所ではない、キャンプ以外の事も頭に入れて注意しなくてはいけないと強く感じました。

いよいよ最初のイベント、稲刈りが始まりました。
午前中結構な量の雨が降ったので、2日目の午前中に順番を入れ替える準備も考えたのですが、「このくらいなら大丈夫だよ」と地元の農家の方に教えて頂き、予定通りに行いました。

 

稲刈りと言うととてもキツいイメージですが、実際にやってみるととても楽しく、普段食べているお米について学べるとても良い体験です。
もっとも、参加者の皆さんが体験で刈っただけでは全部の稲を収穫できなかったので、日が暮れるまで残って作業をしていたスタッフがいた事に気がついたでしょうか?

 

今回初めて挑戦するイベントの一つが、「鱒(ます)のつかみ取り」です。
最初の案では、食堂の前にある貯水池に鱒を放流する予定でしたが、滑ってコンクリートの床に頭をぶつけたりして怪我が心配だし、そもそも広いと子供が捕まえられないだろうということで、変更案を考えることになりました。

代わりの案は、大きめのビニールプールを複数用意することでした。予定外のお金がかかりますが、挑戦してみようということになりました。
大きめのプールを3つ用意して、1つは鱒を待機させておく場所に。そこから残りの2つに少しずつ移して、子供たちに捕まえてもらう作戦です。

始まってみると、子供たちが大はしゃぎ! 全身びしょ濡れになっても、気にせずに必死に追いかけます。
すぐに捕まえられる子もいれば、なかなか捕まえられない子も。見守る大人の応援も必死です!

そんな笑い声も落ち着いて日が傾きだしたころ、コンロの炭に炎があがり、バーベキューが始まりました。
130人が食べるお肉の量を見るとビックリです。でも焼いていると、たちまち皆が食べてすぐに無くなってしまいます。
会場では、通常では考えられない巨大なキャンプファイヤーが燃えさかり、その炎と火の粉が立ち上がるのを見ながら食べる雰囲気は最高でした!

 

そんな最高の雰囲気の中で「星空ライブ」が始まりました。
自由学園卒業生の中には音楽家になった方も大勢おられますが、那須農場キャンプといえば、ピアノの羽仁知治さん。べースの伊藤毅さん。
そして卒業生ではないけれども、羽仁さんといつも一緒に歌われている井手麻理子さんです。

もはや参加者、特に毎年来ている子供たちとの間には熱い絆が結ばれていて、まさにファミリー。
演奏に合わせて子供たちが歌ったり踊ったりして、日常にはない開放感を味わえました。

余談ですが、皆が寝静まったころ、まだ燃えているキャンプファイヤーが消えるのを待つ間、久しぶりに再会した同級生たちと酒を交わしながら昔話に花を咲かせる事ができました。今回のキャンプができるのも、こうした仲間の助けがあるから。最高の仲間たちです。

さて、農場の朝は早い。ということで、翌朝はみんな5時半起床。身支度をしたらまずは酪農体験です。
最初は芋掘りからスタートです。今年は天候不良で芋の成長が遅く、子供たちを喜ばせることができるか心配でしたが、子供たちがビニール袋に大きなお芋を入れて帰って来たので一安心。
春から何度も芋の世話をするために東京からここを訪れたのですが、その笑顔で苦労が報われました。

その後は2班に分かれて、バター作りと子牛の世話を体験しました。
子供たちからの質問コーナーでは真剣な声も聞かれて、このキャンプが楽しい学びの場でもあることが分かります。

 

そんなふうに頭も使っていると、お腹が空いてきます。前日少し心配していた天気もすっかり回復して、とても気持ちのよい風が吹いていました。
そこで、2回に分けて食堂で食べるはずだった朝食を、急きょテーブルを並べて外で食べることに変更。
こんな臨機応変さも、このキャンプならではではないでしょうか。

 

食後は竹細工やキックターゲットで遊びながら、順番に巨大なトラクターに乗って農場を一周しました。
農場の広さを感じながら、酪農という仕事のイメージがつかめたのではないでしょうか。
最後に大きな重機を背景に、参加者全員で記念撮影。本当に素敵な笑顔ばかりです。

今回、いろいろな事が全て終わってから、お世話になった地元の農家の方に御礼を言いに行ったのですが、その方から「20年後くらいに大きくなった子供に一人でも、あのキャンプは楽しかったって言ってもらえればそれで良いのよ。そのためにやるんだよ」と教わりました。
本当にその通りです。

そしてその大きくなった方が将来、このキャンプの運営をして子供たちを喜ばせる。そんな循環ができたらと夢が膨らみます。
もちろんその人が、自由学園の卒業生になっていたら最高ですね。

キャンプが終わった後、先輩から「本番に強い男子部」という言葉を何十年ぶりに聞きましたが、それは決して褒め言葉ではないと思います。
沢山の方に協力して頂いて無事に成功したキャンプでしたが、準備をすればするだけ良いものになっていきます。
今年私たちが預かったこのバトンを、次の代にちゃんと渡すところまで気を緩めずに行いたいと思います。

男子部47回生 イベント実行室室長 水谷勇紀

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