2017年 新年総会のご報告

「オール自由学園」での取り組みに
若い世代の参加を

鉛色の空から時おり小粒の雪が舞う1月14日。午後2時より、自由学園女子部講堂にて、新年総会が行われた。底冷えのする日ではあったが、5回生から72回生まで100名以上の卒業生が集い、新年の挨拶や報告、そして還暦クラスのお祝いに旧交を温めた。

170220_DSC08003【高橋学園長の礼拝】

開会に先立ち、高橋和也 学園長(40)の司会で礼拝が行われた。讃美歌411番、ヨハネの手紙第一4章を朗読の後、『我が愛する生活』の中から「品性とは何ぞや」に触れ、「本当の品性」とは「この世の中で自分はたった一人の人間で、神様にたった一人、他とは違う存在としてつくられたということを心から信じて、自分の存在意義はなんだろうと本気で向き合うところに磨き出される」とあり、とても強く励まされたと語った。最後に、自由学園の卒業式に来賓として来られたこともあり、学部の講師として「キリスト教価値観」を教えられた渡辺和子先生が、12月30日に亡くなられたことに触れ、女子部の生徒がつくったケーキを毎年お届けしていたこと、お亡くなりになる一週間ほど前に12月24日付けで「いつもありがとうございます」とお礼のお葉書をいただいていたことを明かした。一同黙祷をもって礼拝を終えた。

総会の開会は、和田一穂 総務運営室長(46)より、出席者が97名(後に101名)、委任状数が326名、計423名427名)との報告によりなされた。

開会宣言に続いて、中村英俊 同学会委員長(46)の新年挨拶では、2021年の自由学園創立100周年に向けて、「オール自由学園」での取り組みを強化するため、同学会と女子部卒業生会を統合する話し合いが始まっていること、同学会名簿に広告を出している方への新たな取り組みとして、A4 のチラシを『会報』に同封する試みが始まったことが述べられた。

引き続き中村委員長より、同学会の評議員候補として、41回生から45回生までの委員長経験者などが一人ずつ、昨年12月3日の互選会議にて選出され、学園に推薦されたことが報告された。評議員候補者選出管理委員長の尾川由紀智 さん(45)からも評議員候補者選出について活動報告があり、以前は評議員選出経費に100万円近くかかっていたが、運営改革に取り組んできた今回は、4万7千円の経費で無事選出できたことが成果として報告された。

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新年恒例の承認事項として、次期委員長推薦とその承認が行われた。本郷燎さん(47)から、クラスの参加人数が少なく、委員長選出もままならなかったが、集まれる者で数日会合を持ち、今年度クラスで唯一同学会活動に参加している浅野友介 さんが推薦されることとなった、と報告。一同拍手でもって承認され、都合がつけられなかった浅野さんに代わって、本郷さんが次期委員長挨拶の代読をした。

次に、長谷川真人 予算・財務室長(46)より、会費納入の状況とお願いがなされた。これまで65~70%の同学会員(およそ1,0001,100人)が会費を納めているが、若いクラスでは50%以下の会費納入率が目立ち、とりわけ60回生以下では2クラスを除いてすべてのクラスの納入率が半数に届いていない現状が報告され、若い卒業生を取り込む様々なイベントの試みに対してご意見いただければありがたい、と述べた。

イベント実行室からは、青柳佐知夫 室長(46)が、昨年10月22日~23日にかけて那須農場で行われたキャンプが93名(うち子供38人)を集めて盛況だった、と報告。そして、11月の美術展中にも公開された時計の分解組み立て講座には、女子部卒業生を含めた4人が参加。この2月に行われる木工親子積み木づくりには、初等部の親にも声をかけている、とした。

学部キャリア支援室の小堺康弘さん(42)からは、4年生の就職状況が報告された。今年度就職希望者21名のうち、未定者は一人だけ(出版関係希望)となっている。3年生の就職活動は、インターンシップを中心に年明けから開始し、来年度は18名ほどが就職を目指す。学園での学びと社会のつながりを、学園の方からアピールしていくことが必要、と語った。

次に、那須農場復興支援室より濱田宏太郎 室長(46)がこれまでの活動を報告した。ほぼ毎月一度は農場に足を運び、今年度これまで12回支援活動を行い、女子部卒業生や卒業生父母などを含め、のべ204名の方からご協力をいただいてきた。そのうち同学会員は105名に上る、とした。

続いて那須農場よりご挨拶、として前田匡彦農場長が近況をお話しされた。冒頭で同学会の震災復興支援労働に感謝を述べ、牛を健康に保つことに留意し、昨年は過去最大の収穫量があったこと、農場は自由学園に依存することなく自らの足で立つこと、そして地元地域の小中学校に酪農体験を勧め、また不登校の子供たちを受け入れる準備もしていること、を熱く語り、「温かく見守ってください」と結んだ(前田農場長の挨拶全文)。

女子部の卒業生会からは、委員長の森さんが挨拶をした。同学会との統合は、じつは10年以上にわたって歴代の委員長が話し合ってきたこと、と明かし、創立100周年を機にみんなで頑張って学園を支えていきましょう、と述べた。それを受けて高橋学園長は、「学部も共修になって18クラスが卒業し、その後別々の組織に入っていく不自然さは今後増えていく。広く自由学園につながってくださるみなさんがまた一つになれる方向で行きたい」と語った。

最後に、完全出席のスタイルで、還暦のお祝いが行われた。ステージに並んだ35回生24名は、中村委員長から一人ひとり名前を呼ばれると、若々しい声で「はい!」と返し、お祝いの赤い男子部の制帽を受け取り、それぞれに被り、一学年下の木村克比古 さん(36)から祝福の言葉を受けた。

還暦クラスからは、上澤卓哉 さん(35)がお礼の言葉を述べた。高等科から7年間自由学園で教育を受けたが、なかでも羽仁淳 先生や宮島眞一郎先生など自由学園の「レジェンド」の謦咳に接することができたこと、そして木造の東天寮で生活できたことが幸運であった、と語った。最後に「慙愧に堪えないこと」として、「長谷川、黒田、津田、阪井、この4名を失ったことは本当に悲しい」と亡き級友を想った。

170220_DSC08067【35回生の皆さん】

開会から2時間近く経ち、午後3時45分には閉会となり、しののめ茶寮に懇親会の場を移した。最高学部3年生も同席し、会員が学生の進路相談にアドバイスを与える姿も多く見られた。この賑やかなひと時は、午後5時30分、男子部讃歌を斉唱して散会となった。

広報室 師井勇一(46)

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