2016年6月度那須農場復興支援労働報告

<参加者の感想>
6月度の支援労働は18日、19日の2日間行いました。今回は、初参加の時高さん(女子部高等科3年父母)と、いつも我々の胃袋を満たしてくれる佐々木さん(J70)に感想をお願いしました。

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那須農場お手伝いリポート

女子部高等科3年父母 時高 裕史

女子部中等科に娘を入学させた私が、自由学園の施設の一つに那須農場があることを知ったのは5年前でした。
ちょうど東日本大震災の直後、原発事故の影響も懸念され、せっかくの施設は当面女子部の教育には使われないということでした。

変化は2年ほど前でしょうか。子供はともかく親の世代が那須農場のお手伝いをすることが、学年父母会の懇親の席などで話題に上がるようになりました。

もともと職業的には酪農にも農業にもつながりのない私ですが、南沢キャンパスでの学園ボランティアで行う草刈りやペンキ塗りなどの延長で、何かお手伝いできることがあればと思っていたところでした。今年の2月に山形県に単身赴任を始めることになった私は自由になる時間が増えたこともあり、6月度の同学会ボランティアに手を挙げた次第です。

土曜日のお昼過ぎ、三々五々集合を始めるボランティアに、学園発の車に乗り合わせた方々が合流して午後の活動が始まりました。普段は3名の常駐メンバーで切り盛りされている那須農場ですが、季節ごとにやっておきたい作業が日々どうしてもやらなくてはならない作業に追われて後回しになってしまうとのことでした。

午後と翌日曜日の午前中を使って行ったのは、放牧地に繁殖し過ぎた竹の刈り取り、トウモロコシ畑にカラス除けのために張ったテグスの巻き取り、畑から取り除いた石の始末など、人数が揃うことで手分けしてかたづけることができました。

主に私が担当したのは朝昼夕の乳牛の給餌でした。50頭を超える各々の体調に合わせて決められた7種の餌を順番に与えていきました。牛にも好き嫌いがあり、トウモロコシの芯は固いせいか不人気。一方ハイプロと呼ばれる飼料は、給餌を始めると一斉にこちらの手元を見つめてくれるところが可愛らしく、体調のせいで分量が少ないと、隣の子のを横取りするほど大人気でした。

この日の朝夕の搾乳量は合計1.6トンだったそうです。一頭あたり30㎏を超える量です。一頭当たりの餌の総重量を測ったわけではありませんが、相当な量を食べて飲んでいることになります。

もちろん出す方も相当な量です。牛舎の糞尿の始末を同学会のベテランが重機を駆使して処理する横で素人の私は出来ることをこなしていくだけでしたが、手分けして進めることで仕事がはかどったと言ってもらえ、参加した甲斐がありました。

黙々と働き、びっしょりかいた汗をお風呂で流した後に、いただく食事のおいしいこと。いわゆる合宿所での定番料理(カレーやシチュー)を想像していましたが、ボランティアの食事係の方の手による(夕食)タルタルソース添えの鶏唐揚げ、グラタン、ケーキデザート、(朝食)手打ちのほうとう、焼きおにぎり、(昼食)ネギ焼豚丼、おでん風大根煮、ポテトサラダ等々、ついつい食べ過ぎてしまいました。

初参加で足手まといになりはせぬかと心配していましたが、丁寧に作業を教えてもらい、腰や肩には筋肉痛は残ったものの充実した1泊2日でした。これだけの経験で楽しかったという感想は毎日仕事されている方に失礼かもしれませんが、それでも来月また来ますと次回の参加を約束して帰路につきました。

帰ってからメールで家族に報告したところ、女子部生の妹娘だけでなく、学園とは関係ない姉娘まで興味を示してきて、いつか家族連れの参加も考えてみたいと思います。

 

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台所からのメッセージ

佐々木 美和(女子部70回生)

那須農場の労働支援に参加させて頂くようになって、早いものでもう2年になります。
元々は双子の妹がしばらく前から参加しており、「美和ちゃんも行かない?楽しいよ」と誘われたのがきっかけでした。

高等科2年の時に一度訪れて以来の、実に30年ぶりの那須農場は、宿舎が新しく綺麗になっていましたが、食堂の佇まいやおおきな銀杏の木など、記憶の中にうっすら残るあの頃の農場のままで、懐かしさで胸が一杯になりました。

当初は外の仕事のお手伝いをさせて頂いていましたが、いつの間にか食事当番を仰せつかるようになり、現在は労働支援の皆さんが滞在している間の夕食、朝食、昼食作りを担当しています。

昔から食べることも、食べるものを作ることも大好きなので、那須農場で力一杯料理を作り皆さんに喜んで貰える事は、至福以外のなにものでもありません。朝に晩に、春夏秋冬に台所の窓からふと外を眺め、元気よく走っていく子供達や、勇ましく走っていくトラクターを目にする度に、何かしら幸せな気持ちになり、よし、美味しいものを作るからね!と決意も新たにします。

ちなみに今回のお品書きは、夕食は鶏のから揚げ、那須農場を応援して下さる卒業生から差し入れていただいたらっきょうを使ってのタルタルソース。女子部伝統のゆでたまごのグラタン、きんぴらごぼう、塩昆布と胡麻油で和えたちぎりキャベツ、昨年の秋に収穫した同学会米。夜はその月生まれの方のお誕生日の御祝いもするので、ホルスタインクッキーで飾ったトライフルも作りました。

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6/18夕食のトライフルと6/19昼食

朝ご飯は前の晩に仕込んだ手打ちうどんで、山梨の郷土料理、南瓜のほうとうとバナナ。そして農場に来ないと絶対に味わえない、絞たて牛乳。残ったバナナと牛乳は、後でシャーベットになりました。すべての労働を終えた後の昼ごはんは味噌チャーシューに白髪ネギ、ポテトサラダ、玉子と大根の煮物です。

限られた予算の中で、大人も子供も食べられて、野菜も沢山食べられる、でもボリュームのある(労働の後ですからね)メニューを心がけています。皆さん、いつも、もりもり食べてくださって、本当にありがとうございます。

私が那須農場に来ると、楽しみにしているのが、もう一つ。夜、寝ることです。
体はくたくたですが、自分が請け負った仕事の結果が目に見えて(私の場合は皆さんが美味しそうにご飯を食べてくれること)、世代や立場の違う方達と気安くお喋りをし、広いお風呂で汗を流し布団にもぐり込めば、あっという間に深い眠り。そして目が覚めれば、最高の朝。

労働、と聞くと、日ごろの仕事でただでさえ疲れているのに・・・、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、むしろそんな方に、ぜひあの「最高の寝落ち&熟睡」を体験してもらいたいなあ、と思います。

これから農場は、一年で一番忙しい時期を迎えます。
皆さん、どうぞ、那須農場にいらしてください。食べたいものがあえば、ぜひ教えてくださいね。

 

<6月の労働内容について>
6月の労働は梅雨の中でしたが2日間とも天気に恵まれ、予定していた作業も順調に消化することができました。
今回の参加者は同学会6名、卒業生会2名、卒業生家族5名、女子部高3父母2名の15名でした。女子部高3父母のお一人は3回目、もうお一人は初参加でした。

主な労働内容は以下のとおりです。
◆6月18日(土)、19日(日)
①デントコーン畑のカラス避けテグス除去
②牧草地竹除去
③牛道整備
④牛舎作業補助
⑤畑肥撒き

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作業開始時の農場長からの訓示/日曜朝5時、やる気満々の男たち

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デントコーン畑テグス避け除去:畑一面に張り巡らせたテグスを地道に手で巻き取って回収

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牧草地牛道整備:放牧地に向かう牛道に砂を入れ整備を行う

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牧草地竹除去:牧草地内に浸食してきている竹を伐採

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牛舎補助:今回は子供も多かったが頑張って作業

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畑肥撒き:トラクターで肥をくみ取り畑に散布

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草刈りもやりました/女将今回もありがとうございました

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お祝いのトライフル/日曜の昼食

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那須農場復興支援室
濱田 宏太郎(D46)

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