2012年新年総会

2012年新年総会

2012年1月14日(土)。風は冷たいもののよく晴れ、澄んだ空気が心身を引き締める。そんな冬の日の十五時、新年総会が明日館講堂で開催された。
会は高橋和也男子部長(40)の司会による礼拝に始まった。讃美歌291番、ルカによる福音書第12章22節から34節を交読した。

高橋和也 男子部長(40)の司会による礼拝

お話の中で、「自労自治」や「協力」といった自由学園が大切にしている教育と、世間がこれからすべき教育が重なってきており、その中で自由学園が本当に価値のある存在となってゆくことは非常に大変である。教育でもっとも大切な「生徒への信頼」を自由学園は持っている一方で、生徒数や資力といった面で困難に直面している。ただ、その困難に対して危機意識を同じく持つ卒業生がいることに勇気づけられた、と語られた。また、父母からの年賀状に書かれていたブータン国王の「自分の中の龍を育てなさい」という言葉を引用し、自由学園もこの困難を大きな糧として、真の強さをもった団体でありたいと話した。
続く総会は吉田直樹副委員長(41)の司会により進行され、まず1,700名の同学会員数に対し、出席百六名、委任状310通の合計416名で総会が成立したことが宣言された。
最初に阿部泰久委員長(41)から新年の挨拶があり、続いて次期委員長候補として岩佐文夫さん(42)の推薦を松原正さん(42)が行い、42回生だけでなく、下級生も含めてバックアップすることを訴え、拍手をもって承認された。
承認された次期委員長の岩佐さんは、今はまだ明確なビジョンもないが、自由学園に対する思いをぶつけて一年間の任を全うしたいと宣言した。


  • 岩佐 文夫 次期委員長(42)

  • 松原 正 さん(42)

 次に会費の納入状況について渡辺康史副委員長(42)より報告があった。会費の納入状況は予算に対して95%まで達しているものの、年齢別でみると70代の会員は九割が納入しているが、5~60代では7割、3~40代では5割、20代では4割と、若年になるにつれ未納率が上昇している。最高学部を卒業してすぐに同学会員としての自覚が芽生えるというわけではなく、会員同士の働きかけがあって初めて、同学会活動への参加や会費の納入に繋がってゆくと考えられる。年末に会費納入のお願いをしたところ、20回生から65回生までのそれぞれから入金が確認できたため、今後も継続して呼びかけを行いたい、と述べた。
この報告に対し、会員の中から77歳以上となるクラスは会費が免除されているが、それを廃止して若年会員の会費を免除してはどうか、という提案も投げかけられ、本部委員会で検討することとなった。


  • 渡辺 康史 副委員長(42)

  • 阿部 泰久 委員長(41)

  • 岡田 俊輔 副委員長(41)

 続いて阿部委員長が九十周年記念募金の経過報告を行った。3ヵ年計画の二年目にあたる今期、12月末現在で3億円の目標額に対し、2億5,700万円まで集まった。うち同学会では、目標3,000万円に対し、2,400万円余りを醵出いただき、全体とほぼ同水準の8割まで達成している。推進策として、南沢フェスティバルへの出店を通した寄付、故赤木英哉先生の版
画をモチーフにしたTシャツ販売、九十周年記念ライブの開催などを実施・予定
しており、収益を寄付に充てる計画であることが報告された。
震災復興支援についても阿部委員長より報告があった。今年度委員会の最重要課題として取り組みを行い、友の会、婦人之友社、自由学園、女子部卒業生会と連携して多くの方の助けを得ながら活動を続けている。1月14日までに19回にわたって同学会員による現地ボランティア活動を行った。また、原発事故の影響で比較的高い放射線量が計測されている那須農場の支援も重要課題となっている。農場内の放射線計測を定期的に行う傍ら、作業用のヘルメットと長靴、軍手を寄付した。生徒たちが再び那須農場に行けるよう、また場員の方々の助けに少しでもなれるよう、多くの会員がボランティアに参加して、息の長い活動を続けたいと述べた。
最後に来年度の自由学園の評議員改選に関して、評議員候補者選出選挙を行う予定である旨が、岡田俊輔副委員長(41)より報告され、総会は終了となった。
続いて還暦のお祝いがあった。今年も昨年同様、完全出席のスタイルで行われた。ピアノの演奏に合わせて今年還暦を迎える30回生がステージに上がり、赤い制帽とマフラー、そして先に述べた赤木先生の版画Tシャツが記念品として贈呈された。30回生は32名中24名が出席、75%の出席率であった。
藤野大助さん(31)が還暦祝いのスピーチを、柿崎謙一さん(30)が返礼のスピーチを行い、皆で健康を寿いだ。

その後、仁科尚之さん(64)から幼児生活団の紹介、矢野恭弘学園長(26)から九十周年記念事業と震災復興支援に対する同学会の協力への感謝の言葉があった。田島邦彦協力会長(16)から、九十周年募金へのさらなる協力のお願い、また八木文子卒業生会委員長(J57)からは同学会の協力への感謝、さらに、福井誠最高学部キャリア支援室長(28)から、就職支援に対する感謝と就職状況が報告された。


  • 仁科 尚之さん(64)

  • 福井誠最高学部キャリア支援室長(28)

  • 矢野 恭弘 学園長(26)

  • 田島 邦彦 協力会長(16)

  • 八木 文子 卒業生会委員長(J57)

 就職を希望する最高学部三年生も交えた懇親会は、外の寒気を忘れるような熱のこもった交わりとなった。震災
の影響が色濃く残る厳しい情勢の中、学生たちが自信に溢れた卒業生の姿に己の武器を見出してくれることを祈りつつ、最後に男子部讃歌を斉唱して17時30分に散会した。
(広報室 中林 智(60))

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